いよいよ明日

2020年11月14日

いよいよ、明日が奉納祭です。

村の空気が、なんだかおかしい。みんな、そわそわしていて、目がギラギラしていて、少し怖いぐらい。道ですれ違っても、誰も挨拶を返してくれません。ただ、にたにたと笑いながら、私のことを見てくるだけ。

昨日、村の外につながる唯一のトンネルが崩れたそうです。電話もインターネットも繋がらなくなりました。完全に孤立してしまったみたい。でも、誰も不安そうじゃないんです。むしろ、「これで邪魔は入らない」「約束の時が来た」って、喜んでいるみたいで…。

夫も、もう私の知っている夫ではありません。夜中にどこかへ出かけて行って、朝方に帰ってくる。体から、嗅いだことのない甘い、腐ったような匂いがする。何をしているのか聞いても、「明日のためだ。お前も、ひなも、ひとつになるんだ」としか答えてくれない。その目は、もう私のことを見ていませんでした。

ひなが歌う歌も、最近ははっきりとした歌詞になりました。

「ホシをタベるカミサマが、ヨミのトからやってくる」

「みんなでヒトツになるんだよ。ママも、パパも、みーんな」

ひなは、あの白い着物を着て、嬉しそうに歌っています。その無邪気さが、今はただ、恐ろしい。

このブログを誰かが見ているかはわかりません。これが、最後の更新になるかもしれません。でも、もし、万が一、この声が届くのなら。

助けて。

ここから、ひなを、連れて逃げたい。

でも、もう、どこにも、逃げ道は、ない。