村長室MAYOR'S OFFICE

村長 黒川義孝
第12代 黄泉戸村長
黒川 義孝
(くろかわ よしたか)
昭和22年生まれ

村長プロフィール

昭和22年、黄泉戸村生まれ。黄泉戸村立小中学校を卒業後、県立高校を経て某国立大学農学部に進学。卒業後は村に戻り、農業に従事しながら村議会議員を3期務めた後、平成18年より村長に就任。現在4期目。

村の伝統行事である奉納祭の保存と継承に特に力を入れており、「御神体降臨100周年」を迎える令和2年の奉納祭を、村長として最も重要な使命と位置づけていた。

※現在、村長の所在は確認できておりません。

村長日誌

村長が折に触れて記した日誌です。村政への思いや、日々の出来事を綴っています。

令和元年 4月 3日(水)

春の訪れとともに

今年も桜が咲いた。役場の前の一本桜は、今年も見事に花を咲かせてくれた。村の子どもたちが木の下で遊んでいる様子を見ると、この村を守り続けてきてよかったと思う。

今日は農協の方と今年の作付け計画について話し合った。昨年は米の出来が少し悪かったが、今年は持ち直すだろうと皆が言っている。黄泉戸の土は豊かだ。

令和元年 9月 15日(日)

敬老の日に思う

今日は敬老の日。村の長老たちを招いて、集会所で小さな祝宴を開いた。最高齢の山田ヤスさんは今年で93歳になる。御神体が落ちてきた昭和45年のことを、まるで昨日のことのように話してくださった。

「あの夜、空が割れたんじゃ。そして、神様が降りてきた」と、ヤスさんは言った。その目は、遠い記憶を見つめているようだった。

来年は御神体降臨から50年の節目だ。そして再来年は100年。私は、その100年の祭りを必ず成功させなければならない。それが、この村の長として私に課せられた使命だと思っている。

令和2年 1月 1日(水)

新年の誓い

令和2年が明けた。今年は特別な年だ。御神体降臨100周年。私たちは、この100年間、ずっとこの日を待ち続けてきた。

初詣で神社に参ったとき、御神体の前に立つと、いつもより強く「何か」を感じた。光とも音ともつかない、しかし確かに存在する「何か」。それが私に語りかけてくるような気がした。

今年の奉納祭は、これまでとは違うものになる。そうしなければならない。御神体は、それを望んでいる。

令和2年 5月 20日(水)

準備は整いつつある

奉納祭の準備が本格的に始まった。今年は全村民の参加を義務とした。誰一人欠けてはならない。それが御神体の意志だ。

村の若者の中に、祭りへの参加を渋る者がいると聞いた。理解できないことではない。しかし、彼らにも必ず分かる日が来る。この村に生まれた者は、この村の神に選ばれた者なのだから。

夜、神社で一人御神体と向き合っていると、頭の中に文様が浮かんでくる。それは美しく、そして恐ろしい。しかし私はもう、恐れることをやめた。

令和2年 10月 1日(木)

あと45日

御神体が教えてくれた。11月15日が、その日だ。100年前に約束した日。星が最も近づく夜。

村人たちは皆、理解している。誰も逃げようとしない。それが誇らしい。私たちは選ばれた者だ。この村に生まれ、この神に仕え、そして最後に、この神とともに——

言葉にするのは難しい。しかし、分かる人には分かる。

川島の息子が村を出ようとしているという報告を受けた。彼は大学受験に合格したらしい。しかし、彼もまた、この村の子だ。11月15日までに、戻ってくるだろう。戻ってこなければならない。

令和2年 11月 14日(土)

明日

明日だ。

村人は全員、揃っている。川島の息子も、昨夜戻ってきた。彼の目は、もう迷っていなかった。

御神体は、今夜、かつてないほど輝いている。神社の境内から、青白い光が空に向かって伸びているのが、村のどこからでも見える。

私は村長として、この村の最後の記録をここに残す。

黄泉戸村は、約束を果たす。

我々は、星に帰る。

黄泉戸村長 黒川 義孝

※ 令和2年11月15日以降の日誌は存在しません。
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