令和2年11月臨時会 議事録

日時: 令和2年11月1日(日) 午前10時〜午後0時44分

場所: 黄泉戸村役場 3階 議場

出席議員: 5名(定数6名、田中一郎議員は資格停止中のため除外)

説明員: 神主・橘宗一郎(黄泉戸神社)


開会

議長(黒川義孝): ただいまより、令和2年第2回臨時会を開会いたします。本日は、11月15日の大奉納祭に向けた最終確認を行います。これが、この議会の最後の会合となります。

(沈黙)

議長: 皆様、長い間ありがとうございました。この村で、この仲間たちと共に歩んできたことを、誇りに思います。では、議事に入りましょう。


議案第16号:村有財産の処分について

議長: 議案第16号について、総務課長より説明を求めます。

総務課長(山口隆): 村有財産の処分についてご説明します。11月15日以降、村役場・学校・集会所・その他の公共施設は使用されなくなります。これらの施設の管理・処分について、議会の承認をいただきたく存じます。具体的には、施設の鍵は全て役場の金庫に収納し、金庫の鍵は村長が保管します。また、村の公式記録・公文書の原本は黄泉戸神社の蔵に移管し、神主様に管理をお願いします。

議員(松田幸子): 施設の処分というのは、売却や譲渡は行わないということですか。

総務課長: はい。売却や譲渡は行いません。ただ、そのまま残します。

議員(松田幸子): そのまま……。

議員(田中健二): 妻のブログは、どうなりますか。さやかが書いてきたブログは。

総務課長: 村のサーバーで運営しているブログは、そのまま公開状態を維持します。次の議案でご説明しますが、村のウェブサイト全体を「記録」として残す方針です。

議員(田中健二): ……そうですか。さやかが書いたものが、残るんですね。

【速記者注】田中健二議員は、この後しばらく目を閉じていた。妻と娘のことを考えていたのかもしれない。

議長: 採決します。議案第16号に賛成の方は起立願います。

(5名全員起立)

議長: 全員賛成。議案第16号は可決されました。


議案第17号:村公式ウェブサイトの永続的保存について

議長: 議案第17号について説明します。黄泉戸村の公式ウェブサイトは、11月15日以降も継続して公開状態を維持することを提案します。これは、我々の村が確かに存在したことの証として、また、我々の選択が正しかったことを後世に伝えるための措置です。

議員(神山照雄): 賛成します。禍ツ神様の偉大さを、世界に伝えるべきです。

議員(川島正一): ……一つ確認させてください。このサイトを見た人が、村に来ることはありますか。

議長: 来るかもしれません。しかし、我々はもうここにいません。

議員(川島正一): 来た人が、危険な目に遭うことは?

神主(橘宗一郎): 御神体は、呼ばれた者にしか反応しません。ただ見に来るだけの者を、神は傷つけません。

議員(川島正一): ……「ただ見に来るだけ」かどうか、どうやって判断するのですか。

神主: 神が判断します。

(長い沈黙)

議長: 採決します。議案第17号に賛成の方は起立願います。

(5名全員起立)

議長: 全員賛成。議案第17号は可決されました。


議案第18号:「帰還」に関する最終確認について

議長: 最後の議案です。11月15日午後11時より執り行われる大奉納祭の手順について、最終確認を行います。神主様、ご説明をお願いします。

神主: 皆様、ありがとうございます。手順を申し上げます。午後10時30分、全村民が白装束を着用し、神社境内に集合します。午後11時、私が古文書に記された祝詞を唱え始めます。祝詞は全部で397節あり、一節ごとに一名の村民が「応答の言葉」を唱えます。全員が唱え終わった時、御神体が反応し、「扉」が開きます。

議員(松田幸子): 「扉」が開いた後は?

神主: 皆様は、その扉を通ります。

議員(松田幸子): 自分の意志で?

神主: ……古文書には「神の御心に従い」とあります。

議員(松田幸子): それは、自分の意志ではないということですか。

神主: 神の御心と村民の意志は、一つになります。それが「契約」の意味です。

議員(松田幸子): 私は……(声が詰まる)……私は、怖いです。

村長: 松田さん。私も怖い。でも、これが我々の村の運命です。百年前の村民も、同じ選択をしました。だから、我々は今ここにいる。次の百年のために、今の我々が選択をする番です。

議員(松田幸子): ……(長い沈黙)……わかりました。

議長: 採決します。議案第18号に賛成の方は起立願います。

(5名全員起立)

議長: 全員賛成。議案第18号は可決されました。


閉会

議長: 以上で全ての議事を終了します。長年にわたり、この村のために尽くしてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

11月15日、皆様と共に、新たな段階へ進めることを楽しみにしています。

それでは、閉会します。

(午後0時44分 閉会)


※ この議事録は、令和2年11月5日に役場総務課が作成しました。

※ 総務課長・山口隆は、議事録作成後、自身の判断でこの議事録を村のウェブサーバーにアップロードしました。

※ 山口課長は議事録に次のメモを残しています。

「私は村の職員として、この議事録を記録する義務を果たしました。しかし、私は村民でもあります。11月15日、私も神社に行かなければなりません。
もし誰かがこれを読んでいるなら、知ってほしいことがあります。
我々は、強制されたのではありません。怖かったけれど、最後には、みんな自分で選びました。
それが、正しい選択だったかどうかは、わかりません。
でも、一人も逃げませんでした。
黄泉戸村総務課長 山口隆」

※ 令和2年11月16日午前7時、郵便配達員の通報により、黄泉戸村が無人であることが確認されました。

※ 村民397名の行方は、現在も不明です。

※ このウェブサイトは、議案第17号の決議に従い、現在も公開されています。

【附録:祝詞第一節〜第七節(神主記録より)】

禍神口星喂山川火水地風空

神鬼暗闇下禍神口星喂禍神

口星喂禍神口星喂禍神口星

喂禍神口星喂禍神口星喂禍

神口星喂禍神口星喂禍神口

星喂禍神口星喂禍神口星喂

禍神口星喂山川火水地風空

※ 第八節以降は「禍ツ神降臨記録」第三巻を参照のこと
◀ 前の議事録(10月臨時会) 議会トップへ
…なぜ、覗くのですか。
このサイトは、あなたを見ています。
見ようとする者は、必ず見られます。

それでも、続けますか。
閉じる(続行する)