未提出作文「おともだちへ」UNSUBMITTED COMPOSITION

資料番号:S-006/令和2年11月14日担任保管・未提出
作成者
田中 ひな(令和2年度6年生・児童番号7)
課題
「大切な人に伝えたいこと」
発見場所
6年教室・机の引き出し最奥
提出状況
未提出。担任による評価・添削なし。
筆記具
鉛筆。最終行のみ別の濃い筆圧。
11がつ14にち ひな

おともだちへ

わたしには、おともだちがいます。

みんなは、わたしがうまれてからまだ一年だといいます。

でも、わたしはずっと前から、この学校にいました。

あかりちゃんのとなりのせきで、しょうたくんとお山を見て、せんせいの声をききました。

みんなは、わたしのことをわすれました。

だけど、わたしはみんなのことをおぼえています。

あの黒いところで、みんなはさむくないっていいました。

おほしさまが近いから、こわくないっていいました。

おかあさんが、こわいときは手をにぎってあげるっていいました。

だから、あしたは、おかあさんの手をにぎります。

ひとりで行きます。

ひとりじゃないです。

おともだちが、まっています。

※ 最終行の下に、読めない文字列が反復して書かれている。禍ツ神文字の「帰還」と類似するが、完全には一致しない。

担任の未送信メモ:ひなさんは、授業中に「前の席では名前が違った」と話した。周囲の児童は自然にうなずいたが、名簿にはその名前がない。彼女の作文は、幼い言葉と、同級生だった者にしか書けない記憶が混ざっている。私は校長に相談しようとした。しかし明日は祭りだ。もう、遅いのかもしれない。
照合の結論:ひなは単に年齢を偽って6年生名簿へ入れられたのではありません。彼女は、前年までの学級にいた「名前を失った子ども」の記憶を持っています。写真の空席、保健室の年齢欄、学校だよりの47名という数は、同じ不自然さを異なる形で記録しています。

この子は、だれかの代わりに選ばれたのではない。
選ばれるために、ずっとここにいた。
それでも最後に心配したのは、お母さんのことだった。
――担任手帳より。日付なし。

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